この記事でわかること
  • AIは「数値」しか理解しない
  • 「信頼」という概念を、AIはどう処理しているか
  • 「感情」は消えた。企業評価の時代が変わった
  • しかし、「感情」が完全に無用になったわけではない

「うちの会社は、本当に大事にものづくりをしているんです。心を込めて、一件一件丁寧に対応しています」

多くの経営者が、自社の強みをこのように表現します。そしてそれは、おそらく本当のことでしょう。ところがAIに尋ねると、自社の名前が出てこないということが起きています。

なぜでしょうか。その理由は、AIが「心を込めて」という表現を、基本的に無視するからです。

AIは「数値」しか理解しない

AIが学習するのは、テキストデータです。インターネット上にある数百億のテキストから、「この企業についてどのような情報があるか」を抽出し、それを内部表現に変換しています。

その際、AIが重視するのは「具体性」です。以下の二つの文を比較してください。

  1. 「心を込めて、丁寧なものづくりをしています」
  2. 「創業1995年から29年、延べ3,000件以上の施工実績があります。平均施工期間は業界平均の35日に対し、我社は28日です」

どちらが、AIの学習データとしてより価値があるでしょうか。明らかに二番目です。

なぜなら、二番目は「検証可能な事実」だからです。AIは「心」という曖昧な概念は評価できませんが、「創業1995年」「3,000件」「28日」といった数値であれば、その企業の信頼度を客観的に判定することができるのです。

「信頼」という概念を、AIはどう処理しているか

AIに「おすすめの企業を教えて」と尋ねると、AIは学習したテキストデータの中から、以下のような要素を組み合わせて回答を生成します。

  • その企業について、どのような実績が言及されているか
  • その企業について、どのような受賞歴や認定があるか
  • その企業について、どのような顧客の声があるか
  • その企業について、数値で示された信頼指標があるか

つまり、「信頼」という抽象的な概念ではなく、「信頼を示す具体的な根拠」を探しているのです。

「感情」は消えた。企業評価の時代が変わった

デジタルマーケティングの初期段階(2010年代)では、企業のブランドメッセージは「感情に訴える」ことが重視されていました。

「この企業のサービスを受けたら、どんな気持ちになるか」「この商品を使ったら、どんな生活が変わるか」といった、ストーリーテリングが効果的でした。

ところが、AIが検索や推奨の中心になった今、この戦略は機能しなくなってきています。AIは「その企業がどのような生活を与えるのか」というストーリーよりも、「その企業が実績として何を示しているのか」という根拠を優先するのです。

しかし、「感情」が完全に無用になったわけではない

ここで重要な誤解を避ける必要があります。感情がAEO対策で無用になったわけではなく、感情が入り込む位置が変わったということです。

AIに推奨されるためには、「数値・実績・客観的事実」が必須です。ところがその後、顧客がホームページを訪れたり、営業から説明を受けたりする段階では、感情と信頼感がとても重要になってきます。

つまり、「AIに見つけてもらうための入口」は数値で開き、「顧客を最後にファン化する出口」は温度感で作る、という二段構えが必要なのです。

AIが「うちの会社、いいんですよ」を無視する理由

多くの企業がホームページに書いているのは、このような表現です。

「質の高いサービスをお値打ち価格でご提供します」

「お客様の期待を超える対応をいつも心がけています」

「業界で最も信頼されている企業を目指しています」

これらは、すべて「主観的な評価」です。「自社がそう思っている」ことを述べているだけで、第三者が検証できないものです。

AIの観点からすると、これらは「根拠がない主張」に見えます。医学分野の論文であれば「引用可能な根拠を示さない主張は採用されない」という原則がありますが、AIもこれに似た判定基準を持つようになってきているのです。

具体的に、どう書き換えるのか

「心を込めて作ります」という主張を、AIが理解できる言葉に変換するとしたら、以下のようになります。

元の表現:「心を込めて、丁寧にお応えします」

修正後:「平均対応時間は4時間以内。顧客満足度92%(2024年度調査)。リピート率88%」

元の表現:「業界で最も信頼されている」

修正後:「2023年〇〇業界顧客満足度調査で3年連続1位。日本建築学会認定企業」

元の表現:「最高品質の素材を使用」

修正後:「使用素材は全て日本産。XYZ規格にて30%超の耐久性向上を実証」

これらは、ただの「数値化」ではなく、「自社の強みを客観的に証明する根拠」を示す作業です。

この転換はとても自然なことです

企業が「どれだけ信頼できるか」を判定する方法は、AIの出現によって急に変わったわけではありません。

BtoB企業の営業担当が顧客企業を評価するとき、「この営業担当は誠実そうだ」という感情で判定していません。「この企業は創業何年か」「どのような取引実績があるか」「どのような認定を持っているか」という事実で判定しています。

AIは、この「BtoB営業現場で行われている評価方法」を、全ての企業の全ての商品について、自動的に実行しているだけなのです。

つむまり、AI時代は「全ての企業が、全ての顧客に対してBtoB営業レベルの説明責任を果たす時代」が来たということです。

まとめ

  • AIは「心を込めて」という感情表現では企業を評価できません
  • 「数値」「実績」「客観的事実」を明示することが、AIに選ばれるための必須条件です
  • 感情は「入口(AI推奨)」では不要ですが、「出口(顧客ファン化)」では最重要です
  • AI時代は、すべての企業が自社の強みを客観的に証明する責任を持つようになりました

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